不動産を売却しようと思ったら、まず不動産会社に仲介を依頼し、買主を見つけてもらうのが一般的です。

そのときに不動産会社との間で結ぶ契約が「媒介契約」です。

今回は、それぞれの媒介契約の特徴や違い、どの媒介契約を選ぶべきか、について詳しく解説してゆきます。

媒介契約とは?

媒介契約とは、不動産の売買や貸借などの契約の成立のために、営業努力を宅建業者に依頼する契約のことをいいます。

宅建業者は、契約内容をめぐる紛争を防止するため、媒介契約の内容を記載した書面を作り、依頼者に渡さなければなりません。

なぜ媒介契約を結ぶのか?

◆代理人の委任

媒介契約により、売主は不動産仲介業者に自身の代理人として活動してもらうことができます。

仲介業者は売主の代わりに物件を広告し、買い手を見つけるための活動を行います。

専門知識と経験

不動産仲介業者は市場動向や物件の適切な価格設定などについて豊富な知識と経験を持っています。

これにより、売主はより適切な条件で売却できる可能性が高まります。

ターゲット市場へのアクセス

仲介業者は広範なネットワークを持っており、広告やマーケティングを通じて適切な買い手をターゲットにアプローチします。

これにより、売主はより多くの潜在的な買い手にアクセスできます。

交渉力の強化

仲介業者は感情的に関わることなく、客観的に交渉を進めることができます。

適切な価格や条件での交渉を行い、売主の利益を最大化することができます。

法的手続きのサポート

不動産の売買には様々な法的手続きが伴います。

仲介業者は契約書の作成や法的なアドバイスを提供することで、売主をサポートします。

媒介契約には3種類ある

媒介契約には、「一般媒介」「専任媒介」「専属専任媒介」の3種類があります。

  • 売主が複数の不動産会社に買主探しを依頼できる「一般媒介契約」
  • 1社の不動産仲介業者のみに依頼する「専任媒介契約」
  • 1社の不動産仲介業者のみ依頼し、自分で見つけた相手と直接取引の出来ない「専属専任媒介契約」
  • それぞれ、売り主への報告義務が異なる

まとめると下記のとおりです。

媒介契約 一般 専任 専属専任
複数と契約締結 可能 1社のみ 1社のみ
自己発見の買主と契約
契約期間 規定無し ~3ヶ月 ~3ヶ月
指定流通機構(レインズ)
登録義務
規定無し 7日以内 5日以内
販売状況報告義務 規定無し 14日に1回以上 7日に1回以上
一般媒介契約→専任媒介契約→専属専任媒介契約の順に制限が厳しくなる

媒介契約によって手数料は違うの?

答えは、

どの媒介契約を選んでも仲介手数料の上限額は同じ

です。

仲介手数料の上限額
【仲介手数料計算例】
売買価格が3000万円の仲介手数料
3000万円×3%+6万円+消費税=96万円+9.6万円=105.6万円

どの媒介契約を選ぶべきか

人気エリアや相場より安い物件等、需要が高い物件
→一般媒介契約

人気の物件は、購入希望者が多く集まるため一般媒介でスムーズに売却できる場合も。

隣近所に売却を知られたくないなら、レインズ登録が義務付けられていない一般媒介を選ぶといいでしょう。

 

駅から遠い、築年数が古いなどの需要の低い物件
→専任媒介契約、専属専任媒介契約

信頼できる不動産会社だと思えるなら、専任契約を結んでもいいでしょう。また、買い換えなどの理由で家の売却を急いでいる場合は、専属専任や専任にして、売却できない場合の買取特典がある会社を選んだほうが安心です。

 

では、詳しく見てゆきましょう。

一般媒介契約のメリット・デメリット

【一般媒介契約のメリットとデメリット】

◎一般媒介契約のメリット
  • 複数の会社に仲介を依頼できるので、買い手の幅が広がる。
  • 会社同士の競争意識がはたらき、営業活動が積極的になる。
  • レインズに登録しなくてよいので、売却物件が公にならない。
×一般媒介契約のデメリット
  • 販売状況の報告義務がないため、不動産会社がどのように活動しているか分かりづらい。
  • 自社で売却できるとは限らないので、積極的な販売活動をしない可能性もある。
  • レインズに登録しない場合、物件情報が広がらない。

専任媒介契約のメリット・デメリット

【専任媒介契約のメリットとデメリット】

◎専任媒介契約のメリット
  • 不動産会社からの報告頻度が高く設定されているので、売主が販売状況を把握しやすい。
  • 広告費用をかけるなど積極的な販売活動を行ってもらいやすい。
×専任媒介契約のデメリット
  • 1社のみに任せるため、その会社の力量次第で売却の時期や金額が左右される。
  • 他社との競争がなく、営業が活発でないことがある。

専属専任媒介契約のメリット・デメリット

【専属専任媒介契約のメリットとデメリット】

◎専属専任媒介契約のメリット
  • 不動産会社からの報告頻度が3つの契約の中で最も高く設定されているので、売主が販売状況を把握しやすい。
  • 契約を結んだ不動産会社でしか仲介できないため、専任よりも広告費用をかけるなど積極的に活動をしてもらいやすい。
×専属専任媒介のデメリット
  • 自分で買い手を見つけても不動産会社を介さずに売ることはできない。
  • 1社のみに任せるため、その会社の力量次第で売却の時期や金額が左右される。
  • 他社との競争がなく、営業が活発でないことがある。

まとめ

今回は、媒介契約について詳しくお伝えしてきました。

媒介契約とは不動産売却の際、不動産会社に仲介をお願いするときに結ぶ契約のことです。

媒介契約には、「一般媒介」「専任媒介」「専属専任媒介」の3種類がありますが、それぞれの特徴を見極めて媒介契約を選ばないと、高く売れるか、スムーズに売れるかどうかを左右します。

これから不動産売却を行う予定があるのなら、媒介契約の特徴や違いをしっかり理解した上で不動産会社を選ぶべきです。

・とにかく早く売却をしたいのか?
・じっくり時間をかけて売却できるのか?

など、どのような売却計画で進めるかを今いちど確認してから、不動産売却に向けて行動しましょう。

ご希望どおりの不動産売却ができることをお祈りしています。